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2026.10.26

ステンレス製缶加工で漏れを防ぐには?|タンク・ホッパーの溶接と漏れ検査の注意点

🔧 はじめに

ステンレス製のタンクやホッパーを製作する際、

「溶接してあれば、液体や粉体は漏れない?」

「溶接部分に小さな穴ができるのはなぜ?」

「水漏れ検査は、どのような製品でも必要?」

「粉体用のホッパーでも、気密性を指定した方がいい?」

といった疑問を持つ方もいると思います。

ステンレスの板金加工・製缶加工では、レーザー加工や曲げ加工を行った部材を組み合わせ、溶接によってタンク・ホッパー・シュートなどを製作します。

ここで注意したいのが、溶接されていることと、漏れが発生しないことは必ずしも同じではないという点です。

溶接部に微細な穴や溶け込み不足があった場合、液体・粉体・空気などが漏れる可能性があります。

また、製品の用途によって必要な密閉性や検査方法も異なります。

今回は、ステンレス製缶加工で漏れが発生する原因と、製作前に確認しておきたいポイントを現場目線で解説します。


 


1.ステンレスタンク・ホッパーで漏れが発生する原因

ステンレス製缶品の漏れは、必ずしも大きな溶接不良によって発生するわけではありません。

外観では分かりにくい小さな欠陥が原因となる場合もあります。

① ピンホールの発生

ピンホールとは、溶接部に発生する微細な穴のことです。

溶接時のシールドガスの状態や、母材表面の油分・水分・汚れなどが影響し、溶接金属内に気孔が発生することがあります。

その気孔が表面までつながっている場合、漏れの経路になる可能性があります。

特に薄板のステンレス製タンクやホッパーでは、溶接条件の管理が重要になります。

② 溶け込み不足・融合不良

溶接金属が母材や先に形成された溶接金属と十分に融合していない場合、接合部に隙間が残ることがあります。

外観上は溶接ビードが形成されていても、内部まで健全に接合されているとは限りません。

板厚や継手形状に応じて、適切な溶接条件や施工方法を選ぶ必要があります。

③ 溶接の始端・終端や継ぎ目

漏れが発生しやすい箇所として注意したいのが、溶接の始端・終端や、溶接ビードをつなぐ部分です。

溶接を途中で止めたり、別の位置から溶接を再開したりする場合、継ぎ目に欠陥が残ることがあります。

タンクの角部やノズルの取付部など、複数の溶接線が交わる箇所も確認が必要です。

④ 溶接後の研磨による影響

ステンレス製品では、溶接後にグラインダーやバフなどで仕上げることがあります。

しかし、溶接ビードを削り過ぎると、必要な肉厚が不足したり、内部にあった気孔が表面に現れたりする可能性があります。

特に、溶接部を平らに仕上げる指定がある場合は、外観だけでなく、漏れや強度への影響も考慮する必要があります。

🌐タンク製作時に発生しやすいトラブルについては、以下の記事でも解説しています。

👉 ステンレスタンクで起こりやすいトラブルについてはこちら


 


2.液体用タンクと粉体用ホッパーでは、必要な密閉性が違う

タンクやホッパーの製作では、何を入れるのかによって求められる仕様が変わります。

■ 液体を入れるタンク

水や薬液などを入れるタンクでは、液体が外部に漏れないことが重要です。

特に確認したいのは、次のような条件です。

・使用する液体の種類

・液面高さや使用時の圧力

・常圧使用か、加圧・減圧を伴うか

・溶接部に必要な仕上げ

・漏れ検査の方法と合格基準

液体が漏れないことを確認するために水張り検査などを行う場合もありますが、すべての製品で同じ方法が適切とは限りません。

■ 粉体・ペレット用ホッパー

粉体用ホッパーの場合、液体ほど高い密閉性を必要としないケースもあります。

ただし、粉体は粒径や性質によって隙間から漏れやすさが異なります。

例えば、比較的大きなペレットでは問題にならない隙間でも、細かな粉体では漏れが発生する可能性があります。

また、エアレーションや空気輸送などによって内部に圧力がかかる場合は、通常の自然落下式ホッパーとは異なる検討が必要です。

そのため、粉体用だから漏れ対策が不要とは限りません。

粉体の粒径・使用方法・内部圧力・許容できる漏れの程度を確認することが大切です。


 


3.全周溶接なら必ず漏れない?

タンクやホッパーの図面では、「全周溶接」と指定されることがあります。

全周溶接とは、指定された接合部の周囲を連続して溶接することです。

ただし、全周溶接の指定だけで、気密性や水密性が保証されるわけではありません。

実際には、

・溶接継手の形状

・板厚

・溶接方法

・溶接部の健全性

・使用時の圧力

・必要な検査方法

などによって、漏れに対する性能が変わります。

また、片側からの隅肉溶接と突合せ溶接では、継手の構造や施工上の注意点も異なります。

重要なのは、全周溶接という指定だけで判断するのではなく、製品に必要な密閉性能と、その確認方法を明確にすることです。


 


4.ステンレス製缶品の漏れ検査にはどんな方法がある?

漏れ検査には複数の方法があります。

製品の大きさ・形状・用途・必要な密閉性によって、適切な方法を選びます。

① 水張り検査

タンクなどに水を入れ、溶接部や接合部から漏れが発生しないか確認する方法です。

常圧の液体用タンクなどで採用されることがあります。

ただし、水を入れた際の荷重や、検査後の排水・乾燥、使用する製品への水の影響なども考慮する必要があります。

また、水張り検査は、指定された条件下での漏れを確認するものであり、あらゆる使用条件での気密性を保証するものではありません。

② 浸透探傷試験(PT)

浸透探傷試験は、表面に開口した割れなどの欠陥を検出するための非破壊検査です。

溶接部の表面欠陥を調べる方法として利用されます。

ただし、PTは漏れそのものを直接確認する検査ではありません。

PTで欠陥が検出されなかったからといって、漏れがないと断定することはできません。

③ 気泡漏れ試験

検査対象に適切な差圧を与え、検査液などを使用して漏れによる気泡の発生を確認する方法です。

溶接部や接続部などの漏れ箇所を調べる際に用いられることがあります。

ただし、加圧による検査には危険が伴うため、製品の耐圧性能や安全対策を確認したうえで、適切な手順で実施する必要があります。

高い気密性が要求される製品では、ヘリウムリーク試験など、より高感度な検査が必要になる場合もあります。

これらは一般的な常圧ホッパーの製作とは要求水準が異なるため、設計仕様や検査基準に応じた対応が必要です。

■ 検査方法は見積もり前に決めておくことが重要

漏れ検査は、方法によって設備・作業時間・費用が異なります。

製作後に追加で検査を依頼すると、検査用の準備や製品の取り扱いが必要となり、費用や納期に影響する場合があります。

そのため、必要な場合は見積もり段階で検査方法・条件・合格基準を確認しておくことが望ましいです。


 


5.漏れが発生しやすい構造・箇所とは?

タンクやホッパーでは、製品形状によって溶接の難易度が変わります。

特に注意したいのが、次のような箇所です。

■ 角型ホッパーのコーナー部分

角型ホッパーでは、複数の板が交わるコーナー部分に溶接線が集中することがあります。

板の合わせ方や溶接順序によっては、溶接しにくい箇所が生じるため、施工性を考慮する必要があります。

■ ノズル・ソケット・フェルールの取付部

タンクやホッパーにノズル・ソケット・フェルールなどを取り付ける場合、円周方向の溶接が必要になります。

取付部の形状や板厚差によって溶接条件が変わるため、母材との接合状態に注意が必要です。

また、配管などが接続される箇所では、使用時の荷重や振動の影響も考慮する必要があります。

■ 底板と胴板の接合部

液体用タンクでは、底板と胴板の接合部が液体に接することがあります。

溶接部に不連続な箇所がないか、必要な施工範囲が確保されているかなどの確認が重要です。

■ 補強板・取付金具の周辺

補強板や取付金具を設ける場合、構造によっては狭い箇所や溶接しにくい箇所が生じます。

また、内容物に接する面では、隙間に液体や粉体が入り込まないようにする必要がある場合もあります。

こうした部分は、漏れだけでなく洗浄性や衛生面にも関係します。


 


6.漏れ対策と溶接歪みは両方考える必要がある

ステンレスの薄板を溶接する際、漏れを防ぐために溶接量を増やせばよいとは限りません。

溶接による熱が加わると、収縮・反り・ねじれなどの歪みが発生します。

特に、

・薄板の大型タンク

・長い溶接線を持つ角型ホッパー

・平面部分が広い容器

・ノズルや補強材が多い製品

などでは、溶接歪みに注意が必要です。

歪みが大きくなると、取付寸法やフランジの平面度などにも影響する可能性があります。

そのため、溶接の施工方法や順序、仮付け・固定方法などを考慮しながら製作することが重要です。

漏れ対策・寸法精度・外観仕上げは、それぞれ独立したものではなく、相互に関係しています。

👉 ステンレスタンクの溶接歪みとフランジの反り対策についてはこちら


 


7.図面に記載しておきたい漏れ対策の指定

タンクやホッパーを製作依頼する際、図面に必要な条件が記載されていないと、製作会社と依頼者の間で認識が異なる場合があります。

特に、次の項目は確認しておきたいところです。

確認項目                        主な内容


内容物                    水、薬液、粉体、ペレットなど


使用条件                   常圧、加圧、減圧、使用温度など


溶接仕様                   溶接箇所、継手形状、連続溶接の指定など


密閉性能                   水密性・気密性の必要性、許容漏れ量など


検査仕様                   検査方法、条件、合格基準


表面仕上げ                  2B、酸洗い、バフ研磨など


接続部                    ノズル、フランジ、フェルール、バルブなど


例えば、図面に「全周溶接」と記載されていても、液体を入れる製品なのか、粉体を自然落下させる製品なのかによって、確認すべき内容は異なります。

また、漏れ検査を必要とする場合は、「漏れなきこと」という表現だけでなく、可能な範囲で検査方法と条件を明確にしておくと、見積もりや製作時の認識違いを防ぎやすくなります。


 


8.漏れ検査や追加仕上げは見積金額に影響する?

ステンレス製缶品の見積金額は、材質・板厚・寸法・数量だけで決まるわけではありません。

漏れ対策に関する仕様によっても、製作工程が変わります。

例えば、

・連続溶接が必要な範囲が広い

・溶接しにくい形状や狭い箇所が多い

・内外面の溶接仕上げが指定されている

・水張り検査などの追加検査が必要

・検査結果の記録や提出書類が必要

といった場合、加工時間や検査費用が増えることがあります。

一方、実際には高い気密性を必要としない製品に対して、過剰な検査や仕上げを指定すると、必要以上にコストがかかる可能性もあります。

重要なのは、用途に必要な品質を確保しながら、過剰な仕様を避けることです。


 


9.ステンレスタンク・ホッパーの製作を依頼する際のポイント

タンクやホッパーの製作をスムーズに進めるためには、図面とあわせて使用条件を伝えることが大切です。

特に、漏れが問題になる製品では、次の点を製作前に整理しておくとよいでしょう。

① 何を入れる製品なのか

液体なのか粉体なのか、粉体であれば粒径や性質なども確認します。

② どの程度の密閉性が必要なのか

液漏れを防ぐ必要があるのか、粉体の飛散防止が目的なのか、気密性まで必要なのかを明確にします。

③ どの部分に漏れ対策が必要なのか

胴板と底板の接合部、ノズル取付部、排出口周辺など、要求する箇所を整理します。

④ どのような検査が必要なのか

検査方法や合格基準を事前に決めておくことで、製作後の追加対応を減らしやすくなります。

⑤ 外観や洗浄性に関する指定はあるか

溶接ビードを残してよいのか、平滑な仕上げが必要なのかによっても加工内容が変わります。

👉 製缶とは?板金加工との違いについて


 


10.まとめ|ステンレス製缶加工では用途に合った漏れ対策が重要

ステンレス製のタンクやホッパーでは、溶接によって部材を接合するだけでなく、使用条件に応じた漏れ対策が必要です。

今回のポイントをまとめると、

・ピンホールや溶け込み不足などが漏れの原因になることがある

・全周溶接だけで水密性・気密性が保証されるわけではない

・液体用タンクと粉体用ホッパーでは必要な密閉性が異なる

・水張り検査・浸透探傷試験などは目的が異なる

・溶接歪みや研磨仕上げも考慮する必要がある

・検査方法や必要な品質は見積もり前に明確にしておくことが望ましい

ということです。

漏れを防ぐために重要なのは、単に溶接量を増やすことではありません。

製品の用途・構造・溶接仕様・検査条件を整理し、必要な品質を確保できる製作方法を選ぶことが大切です。


 


📚 関連コラム

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👉ステンレスタンク製作でよくあるトラブル例

👉ステンレスタンクの溶接歪み対策

👉ステンレス製缶とは?特徴・工程・加工会社選び


 


🏭 ステンレス製タンク・ホッパーの製作なら株式会社木村工業へ

株式会社木村工業では、ステンレス・鉄(SS材)を中心とした板金加工・製缶加工に対応しております。

ステンレス製タンク・ホッパー・シュート・架台・フレームなど、図面に基づく各種製缶品の製作についてご相談いただけます。

材料調達からレーザー加工・曲げ加工・溶接・仕上げまで、製品の仕様に応じて対応いたします。

漏れ対策や検査が必要な製品については、図面・使用条件・検査仕様などを確認したうえで、対応の可否や製作範囲を検討いたします。

なお、弊社は基本的にお客様からの図面支給による製作となります。

図面をお持ちの設備メーカー様・製造業者様で、ステンレス製タンクやホッパーの製作先をお探しの場合は、お気軽にお問い合わせください。


株式会社木村工業
〒341-0034
埼玉県三郷市新和3丁目125

TEL:048-960-0275
FAX:048-953-5380


 

この記事を書いた人

役職

高橋 和志

現場で火花を散らす溶接作業から、会社の魅力を発信する広報、そしてお客様窓口として信頼を築く営業まで、日々フル回転で活動してます。

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